「3つの良いこと」— 良かったこと日記のやり方
毎晩「今日あった良いことを3つ」書くだけの「スリー・グッド・シングス」。どこから生まれ、研究で何がわかり、今夜どう始めればいいのかをまとめました。
最終更新 2026-09-25
「感謝しましょう」という話の多くは、ぼんやりしています。「3つの良いこと」は違います。決まった形があり、はっきりした出どころがあり、ランダム化比較試験の裏づけがあります。この分野では珍しいことです。
日本では「良かったこと日記」「いいこと日記」「スリーグッドシングス」などとも呼ばれています。
どんなエクササイズか
毎晩、寝る前に、その日うまくいったことを3つ書きます。それぞれの横に、なぜうまくいったのかを書きます。
エクササイズはそれで全部です。小さくなるように設計されています。
「なぜ」は飾りではありません。元の指示では、参加者はそれぞれの出来事について、何がそれを起こしたのか、自分や誰かがどんな役割を果たしたのかという「原因」を書くよう求められていました。「佐藤さんとランチをした」と「佐藤さんとランチをした。誘われるのを待たずに、やっと自分から日にちを提案したから」の違いです。
どこから来たのか
このエクササイズは、2005年に『American Psychologist』誌に掲載された、マーティン・セリグマン、トレイシー・スティーン、ナンスク・パーク、クリストファー・ピーターソンによる論文 “Positive psychology progress: empirical validation of interventions” で紹介されました(doi:10.1037/0003-066X.60.5.410)。
この研究では、参加者を無作為に割り当て、5つのエクササイズをプラセボ群と比較しました。論文で “three good things in life” と呼ばれている「3つの良いこと」は、実施した1週間を大きく超えて効果が続いた2つのうちのひとつでした。取り組んだ人は幸福感が高まり、抑うつ症状が減ったと報告し、その差は6か月後の追跡調査でもまだ測定できました。
正直に書いておくべきことが2つあります。参加者はポジティブ心理学のウェブサイトに自分から訪れた人たちで、代表的なサンプルではありません。そして論文自身の読み方では、指定された1週間を過ぎても続けた人ほど効果が大きかった。つまり大事なのは、最初の1週間の効果の大きさではなく、習慣の大きさです。
この形がうまくいく理由
区切りがある。 「今日のことを書く」ではなく、3つだけ。どこで終わりかがわかるので、つらい夜でも書けます。
具体的になる。 「家族に感謝している」は、2回目にはもう色あせます。「弟が帽子をかぶった犬の写真を送ってきた」は毎日違うことで、1年後にも思い浮かべられるのはこの具体的なほうです。
原因で終わる。 なぜうまくいったのかを問うと、自然に自分や誰かの役割を探すようになります。何週間も続けると、自分にとって良い一日を実際につくっているものの記録ができあがります。
今夜の始め方
- すでに一日の中にある時間を選びます。電気を消す前の最後のひととき、お湯が沸くのを待つあいだ。
- 今日うまくいったことを3つ書きます。短くて正解です。
- それぞれに、なぜうまくいったのかを少しだけ書き添えます。
- そこでやめます。読み返さない、一日に点数をつけない、日記にしない。
1週間続ければ、自分に合うかどうかがわかります。失敗するのは、エクササイズが難しすぎるからではありません。毎晩1段落書こうとして、4日目にやめてしまうからです。
ノートでも、アプリでも
ノートで十分です。枕元のノートには通知もアカウントもありません。
ノートにできないのは、記録を戻してくれることです。アプリを使う理由は、1年後に「この日に何を書いたか」を見せてくれることにあります。多くの人が驚くのはこの部分です。書き留めた小さなことこそ、書かなければ完全に忘れていたはずのことだからです。
良かったこと日記アプリを選ぶなら
3行の文章を保存できるアプリはたくさんあります。このエクササイズに向いているアプリは、もう少し具体的なことをしてくれます。
- 白紙ではなく、3つの枠。 形そのものがエクササイズです。空っぽの日記ページが開くアプリは、どれだけ書くかを決めさせます。このエクササイズは、その判断をなくすためにあります。
- 「なぜ」を書く余地。 研究で指定されていたのはその半分なので、それぞれにうまくいった理由を書けるとよいでしょう。
- 自分で選んだ時間に、通知はひとつ。 元の指示は夜ですが、通知が役に立つのは実際に手が空いているときに届く場合だけです。
- 昔の記録に戻る方法。 このエクササイズが報われるのは何か月も後に読み返すときです。スクロールを待つのではなく、アプリのほうから記録を見せてくれるのが理想です。
- 気にしなくていいプライバシー。 小さくて個人的なメモです。広告に使われるべきではありません。
MindHappyは、まさにこのエクササイズを中心につくられた感謝日記アプリです。1日3つの良いこと、習慣が途切れないための連続記録、自分で選んだ時間にひとつだけの通知、そして1年後の同じ日に記録を見せてくれる振り返り。iPhone・Android・Apple Watchで無料で使え、アカウントがなくても始められます。
よくある質問
どのくらいの期間続ければいいですか?
元の研究で参加者が取り組んだのは1週間で、効果は6か月後まで測定されました。実際には「講座」ではなく「習慣」として考えてください。続けられるくらい小さいことに意味があります。
今日は良いことが何もなかった日は?
小さく書いてください。「コーヒーがおいしかった」「好きな曲が流れた」で十分です。特別な一日である必要はありません。何も思い浮かばない日こそ、いちばん書く価値のある日です。
朝と夜、どちらに書くべきですか?
元の指示は、寝る前にその日を振り返ることでした。一日が終わっているので夜が自然です。夜が難しければ、翌朝に前日のことを書いても構いません。
「なぜ」まで書かないとだめですか?
多くの人が省く部分ですが、研究で指定されていたのはまさにそこです。理由を書くことで、リストが振り返りに変わります。エクササイズの効き目はそこにあります。
感謝日記と同じものですか?
感謝日記のひとつの形で、やり方がはっきり決まっているものです。感謝日記は、恵まれていることのリストから長い日記まで何でもありえますが、「3つの良いこと」は1日3つ、それぞれに理由を添える形に決まっています。
「3つの良いこと」を続けられるアプリはありますか?
はい。MindHappyはiPhone・Android・Apple Watch向けの無料の感謝日記アプリで、1件の記録に3つの良いことを書けます。1日1回だけ通知し、1年後の同じ日にその記録をもう一度見せてくれます。ノートでも続けられますが、アプリの利点は昔の記録が戻ってくることです。